院長の吉野です。皆さんこんにちは。寒い日が続いていますが、皆さん如何お過ごしでしょうか。このブログは何と約3か月ぶりの投稿となります。お待たせいたしました。

お正月前後は例年になく暖かい日が続きましたが、先々週あたりから一転して、たいへん寒い気候となっています。昨年が少し暖冬気味だったことから、この冬の寒さがとりわけ体に堪えるというものです。それに年末の北海道で記録的な大雪となったのをはじめ、ここにきて西日本を含む日本海側などで、かなりの大雪となっています。
その影響で、しばらく開店休業状態だったスキー場が、積もりに積もった雪によって軒並み息を吹き返し、元気に営業しています。一方では年末の北海道のように、大雪によって空港や鉄道がマヒ状態になる等、大きな悪影響が出ました。ほどほどの積雪だと助かるのですが、近年は温暖化の影響もあり、雪の降り方も多いか少ないか両極端になっています。

このような寒さの中、風邪やインフルエンザ、ウイルス性胃腸炎などが猛威を振るっています。蒲田よしのクリニックにも、高熱や咳、のどの痛み、鼻水、胃腸の不調などを訴えて来られる方が後を絶ちません。このような風邪の流行は、毎年冬の風物詩ともいえる程ありふれたものですが、この冬はとりわけ来院者が多いような気がします。
そのような中でも、今シーズンは「しつこい」風邪が特に流行っているようです。というのは1週間以上、人によっては2~3週間も風邪症状が長く続く人が少なくないのです。そのような長引く風邪というのは、一つのパターンがあります。発熱は36℃から37℃程度と大した事がない反面、咳や鼻水、のどの痛み、胃腸症状、或いは体のだるさが延々と続く傾向があります。

一方でインフルエンザは、当初の予想よりも発生数が多くないような印象もあります。38℃以上の高熱を出す方は決して少なくないのですが、外来診療室で簡便にできるインフルエンザ迅速検査を施行しても「陽性」と結果が出る方は比較的少数です。すなわちインフルエンザを思わせるような高熱があるため検査をしたところ、予想に反して「陰性」と出る方が多いのです。
そして興味深い事に、インフルエンザも含め、高熱の出る風邪の方が、熱の出ない風邪よりも早く治る傾向があります。38℃台から39℃台の高熱が出ると、寒気がして体がだるく本当に辛いものですが、体力さえあれば多くは3~4日くらいであっさりと治ることが大多数です。一方で37℃止まりの咳や鼻水などが主体の風邪は、上記のように1週間から2週間、あるいはそれ以上も長引いている方が目立ちます。

その理由としては幾つかありますが、最大の要因は「発熱の効果」と考えられます。すなわち風邪に伴う発熱には、一定の科学的な意味があるという事です。風邪やインフルエンザのウイルスは本質的に「熱」が苦手です。従ってウイルスに侵入された人体は「発熱」し、ウイルスの排除に動くのです。実際に、高熱に見舞われたウイルスは生体からの消失が早く、治癒も早い事が証明されています。
逆に発熱がない、もしくは37℃程度の微熱に留まる場合は、このような高熱によるウイルスの排除機転が働かないため、ウイルスが体内に残留しやすくなります。寒い、或いは冷えた体内というのは、ウイルスにとってはたいへん「居心地が良い」環境なのです。風邪薬や解熱剤を飲むと、熱が下がり体は楽になりますが、反面でウイルスが残留し風邪が長引きやすい、という皮肉な結果となることが少なくありません。

このような熱に弱い、逆に言うと寒さを好む風邪やインフルエンザを予防する、或いは軽症で済ますには、どのような工夫が望まれるのでしょうか。そのためのポイントは幾つかありますが、大切な要素の一つとして「体を温める」ことが挙げられます・・(続く)

蒲田よしのクリニック