私は内科医として約30年間、病院やクリニックで多くの患者さまに診察を行ってきました。
病院では通常、薬を中心とした治療が行われます。
しかし、血圧や血糖値が数字の上で低下したとしても、病気が根本的に改善したわけではありません。なぜなら、血圧や血糖値が安定した状態でも脳卒中や心臓病などの重篤な病気を併発する人が後を絶たないからです。
その原因の一つは、高血圧の根本の原因となる動脈硬化の進行を薬では改善させることができていないためです。
対照的に、薬を使わなくとも病気が改善する人もいます。
自分の健康に対してさまざまな取り組みを行うことで、数値が自然と安定する場合もあるのです。
薬を使わずに病気が改善する人や薬が要らなくなる人には、さまざまな共通点があります。
その共通点は、食生活を改善する、運動をする、体を温める、睡眠をしっかりとる、ストレスをうまく発散する、家族関係を大事にすることなどにあります。
人には自分で病気を克服する力「自然治癒力」がありますが、何かの理由によりその力が衰えた時に、人は病気にかかります。
そのため、病気の予防や症状を改善させるためには、自然治癒力を向上させることが大切になります。
医療には、薬で症状を抑えることだけではなく自然治癒力をサポートするような取り組みも求められます。医療の主人公は医師ではなく患者さまご本人です。医師はそのコーチ役なのです。