「社員の不眠」による経済損失は食事&運動の10倍!睡眠の「質」向上のためには何が必要?
日本人が世界有数の「短眠国家」であることは、各種の国際比較により明らかとなっています。そのため睡眠不足が日本人の仕事や生活に多大な損失を与え、国民の生産性や国家GDPにまで影響している可能性があることなどが、多くの専門家から指摘されています。
ある試算に基づいて、経済に与える悪影響は「睡眠」が食事や運動などの約10倍もある、という研究結果が報告されました。そうだとすると、社員の心身の健康や会社の生産性を向上させるため、食事や運動などの生活習慣と同じかそれ以上に社員の「睡眠」に気を遣うのは、妥当な経営判断といえます。
現実の問題として、日本人の「睡眠問題」はかなり深刻です。分かりやすい事例の一つが「電車内での居眠り」です。日中にも関わらず車内では、坐っている人の10人中1~2人、時に3人くらいが眠っているのが普通です。これは諸外国では珍しい光景だそうで、日本人の睡眠問題を象徴している典型的な事例とされています。
実際の調査結果を諸外国と比較した場合でも、世界的にみると日本人の「睡眠時間」は突出して短くなっています。睡眠時間の国際比較は多数あり、調査により幅がありますが、概ね日本人の平均的な睡眠時間は6時間台と、諸外国に比べ平均して1~2時間くらい短くなっています。
もっとも日本人が昔から「短眠」だったという訳ではありません。数十年にわたる年次推移の研究では、昭和・平成・令和と時代が進むにつれて、日本人の睡眠が「短眠化」してきました。この変化に関しては日本人の過重労働の影響が取り沙汰されましたが、労働時間が「働き方改革」で短くなった後も、この傾向は続いています。
日本人の睡眠が短くなった影響は、随所に現れています。例えばウツなどメンタル疾患の罹患率と、それによる休職・離職の増加は、睡眠時間の短縮と軌を一にしています。実際にうつ病や不安神経症などのメンタル疾患には、高率に睡眠障害を併発しており、日本人のメンタルヘルスと睡眠の問題は、深い関連があります。
別の国際比較では、国民の睡眠時間と「1人あたりGDP」との関連性が指摘されています。一般に睡眠時間が長いほどGDPが高い、という相関関係が指摘されていますが、この調査では、日本は諸外国に比べて睡眠時間が突出して短く、一方でGDPがゆっくりと低下してきています。
この調査結果を以って「日本人は睡眠が足りないからGDPが低くなった」と断言することは出来ませんが、睡眠不足が引き金となって勤労意欲や生産性、創造性の低下に繋がり、休職や離職の増加をもたらし、ひいては1人あたりGDPの低下を招く遠因となっている可能性は充分にありそうです。
もちろん睡眠不足や短眠化に対し、国や企業も手をこまねいている訳ではありません。実際に経産省などの官公庁が音頭を取り、企業の「健康経営」を推進する一環として、社員の「睡眠時間」を確保するための様々な施策を打ち出しています。
例えば企業では、伊藤忠商事が自社従業員を対象に、睡眠状態を検知する機器で睡眠の時間や質を「見える化」したところ、約半数の社員に「睡眠障害」がある事が判明しました。危機感を覚えた同社経営陣は、寝具メーカー等と協力して睡眠環境の改善に取り組み、結果として従業員の睡眠状態は明らかに改善しました。
さて我々が推進する「うつゼロドットコム」では、睡眠の質向上や心身の健康増進に関して、栄養バランスと食生活を特に重視しています。提携する企業組織などに関して、社員の心身の健康を左右する睡眠状態を改善する取り組みとして、栄養状態の改善は特に重要なポイントとなります。
その一例を挙げると、睡眠状態を左右する神経伝達物質である「メラトニン」の生合成を促進するためには、原料であるタンパク質およびアミノ酸と、生合成の補酵素となる鉄・ビタミンB群、それにビタミンCや亜鉛などの栄養素を充分に補給する事がたいへん重要です。
それと並んで、栄養素を消化、吸収する場である「小腸粘膜」の状態を改善する事も焦点の一つです。小腸粘膜に隙間が生じる「リーキーガット症候群」では栄養素の消化、吸収に齟齬を生じ、上述の鉄やビタミンB群など重要な栄養素の欠乏を招きます。良質な睡眠を確保するためには、腸の状態を良好に保つことも同じくらい大切なのです。






