昨日は2025年の元旦でしたが、皆様は新年をどのように迎えられたでしょうか。私は出張先からの朝帰りでしたが、東海道線も京浜東北線も、車内は拍子抜けするほどガラガラの状態でした。但し東京駅の構内や地下商店街は、スーツケースなどを転がす旅行客や帰省客らでごった返していました。

なぜこのようなお正月に出張なのかというと、実は医師にとって年末年始は、意外にも「稼ぎ時」なのです。たとえ年末年始でも、病院の病棟や救急に休みはありません。その間は常勤の医師を休ませ、外部から招いた非常勤の医師に当直などを任せます。私も年末年始は毎年1回か2回くらい、当直勤務を任せられています。

さて前回は、昨年12月から開始となったME/CFSに対する「ビタミンⅮ補充療法」臨床試験について、またその重大な背景となっているコロナ後遺症およびコロナワクチン後遺症の現状、そして臨床試験の治療コンテンツとなっているビタミンⅮの有用性などに関して、ごく簡単に説明しました。今回から各々について、順に解説してまいります。

https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs041240135 (臨床研究・治験計画の詳細情報)

まず臨床試験の対象疾患となっているME/CFS(筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群)および背景要因の一つであるコロナワクチン後遺症(接種後症候群)について、私や仲間の医師が日々経験し、あるいは直面している診療現場の実態、および具体的な取り組みを交え、具体的に説明したいと思います。

私の「蒲田よしのクリニック」は2011年11月の開業以来、主として40~50代の女性を中心として、慢性疲労や自律神経失調、更年期障害、ウツなどメンタル不調などの疾患および体調不良に対し、ラドン温浴(放射線ホルミシス療法)やプラセンタ注射、各種点滴療法、栄養療法、漢方療法などに取り組んできました。

2020年に入りコロナ感染の蔓延と共に「コロナ自粛」の世相となり、一時的に来院患者数が減少しましたが、やがて回復基調と共に「コロナ後遺症」の患者がチラホラ来院する様になりました。そして2021年に入ると、今度はコロナワクチン後遺症(接種後症候群)の方々が、コロナ後遺症に取って代わるようになりました。

コロナ後遺症とワクチン後遺症とでは、症状の組合せと重症度に細かい違いはありますが、おしなべて共通点があります。皆さんは口を揃えて「体がだるい」「倦怠感がひどい」「疲れが取れない」などと訴えます。多くの症状が知られていますが、殆んどの方々にとっての共通する症状は「疲労感」あるいは「倦怠感」です。

それと並んで目立つのが、各種の「神経症状」です。すなわちシビレ、不眠、憂うつ感、不安感、集中力・記憶力・意欲の低下、ブレインフォグ(頭がボーっとする異常感覚)などの神経および精神症状、それに動悸、めまい、立ちくらみ、異常な発汗、などといった自律神経失調症状を高率に認めるのです。

それに加えて多いのが、全身各所の「痛み」です。すなわち頭痛、筋肉痛、関節痛、神経痛などに悩まされています。以上のような疲労感、各種の神経・精神症状、それに痛みといった症状を総合し、後述するME/CFS(筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群)という疾患名が、専門家の間では主流の考え方となっております。

このワクチン後遺症などを背景としたME/CFSの症状は、個人差がたいへん大きいのですが、若い方々を含め重症例が少なくありません。ひどい方は日中も自力で起きられず、寝たきりに近く、仕事や社会生活も満足に過ごせないような方もおられます。車いす移動や杖つき歩行などを余儀なくされる方も少なくありません。

そのような患者さんは、近隣の方とは限りません。私のクリニックの所在する大田区だけでなく、東京都でも23区内はもとより多摩地区、あるいは他県からいらした方々が、たいへん多くなっています。中には県境を3つも越えてきた方々もおられます。どのような事情で、そのような遠方から来られているのでしょうか。

その事情は様々ですが、大別すると二つのシナリオが挙げられます。それは一つには地元の病院で「診てくれない」ために、止むを得ず遠方から受診せざるを得ない、もう一つは地元の病院で診てくれても「よくわからない」といわれ、やはり止むを得ず遠方から受診せざるを得ない、という切実な事情があるのです。

前者の「診てくれない」という患者からの訴えは2022年頃まで頻回に聞かれましたが、さすがに今では少数派となりました。それに対して後者の「よくわからない」と言われた、という訴えは今でもチラホラ聞かれます。そのような対応をされた患者さんが、散々苦労して私のような医師のもとを訪ねてくるのが現状となっています。

地元の病院からそのような対応を受けた患者さんは膨大な数にのぼっているとみられ、その理由は複雑な事情となるため日を改めて解説いたします。2020年以来、コロナ後遺症およびワクチン後遺症の方々の来院数は、その可能性のある症例および軽症例を含めると、私のクリニックだけで少なくとも数百例にのぼります。

コロナ後遺症およびコロナワクチン後遺症に対する具体的な治療法に関しては後日お話しますが、私の「蒲田よしのクリニック」ではラドン温浴(放射線ホルミシス療法)、プラセンタ注射、各種の点滴療法、漢方療法、栄養療法などを、患者さんの現状とご意向を勘案して組み合わせて実施し、概ね良好な治療成績が得られています。

https://kamatayoshino-cl.jp/menu-2/ 蒲田よしのクリニック「コロナ後遺症およびワクチン副反応外来」

2022年春からは、コロナおよびワクチン後遺症の診療に取り組む医師が200名近く集まって「後遺症研究会」を結成し、定期的なZOOM学習会を開き、後遺症の病態や治療法に関する臨床経験や知見などを情報交換し、討論するようになりました。ZOOM学習会は現在も、様々なテーマをもとに月1~2回のペースで続けられています。

一方で、コロナおよびワクチン後遺症の診療に取り組む医療機関をリストアップした検索サイト「コロワク治療ナビ」を2022年に立ち上げ、各地方ごとに医療機関を医師を探し出せるシステムを構築しました。このリストには現在80施設が登録されており、実際に「コロワク治療ナビを見た」という患者が時々来院されております。

https://corowakunavi.com/?fbclid=IwAR0z7WEv-TpIUDdEnMUySHwrs5JYQ-7LnYrsyK1d-ShUtObiLP_bwINIBTM (コロワク治療ナビ)

・・(続く)

蒲田よしのクリニック