ここ数日たいへん寒い日が続いていますが、皆さんお元気でしょうか。少し前まで暖かい日が続いていたので、急に寒くなると、体にとても堪えますね。全国的に平年並みか、平年より若干低い気温まで低下している模様です。

日本海側などでは大雪ともなっています。新潟県などでは一晩に1メートル以上もの雪が降り積もり、高速道路では多くの車両が何日も立ち往生となりました。大渋滞に巻き込まれた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

私は10年ちょっと前まで山形県に住んでいました。山形も有数の豪雪地帯で、1メーター50センチの雪は経験しましたが、一晩に1メートルの降雪というのは、さすがにピンときません。遭遇した人は、さぞビックリしたでしょうね。

そして今月21日は「冬至」でした。冬至は1年で最も昼の時間が短い日で、日の出が遅く日没は早くなっています。そのため冬至を挟むこの時期は、単純計算でいうと1年で最も日照時間が短くなりやすい時期なのです。

日照時間の短さと関連して、「冬季ウツ」という医学用語があります。これは冬になるとウツ状態に見舞われる方が増える、という傾向を反映した用語で、日本では東北や北陸など、世界では北欧など雪の多い地域に多発するとされています。

私も山形に住んでいたので分かりますが、冬の間は毎日のように雪か曇りが続き、晴れる日が殆んどありません。ところが10数年前に東京に移住しましたが、山形とは対照的に、冬の間は晴れが続くのが不思議で仕方ありませんでした。

 

さて前回のコラムでは、ビタミンDが欠乏すると骨粗鬆症になりやすくなる他、免疫力が低下して風邪やインフルエンザに罹りやすくなる、腸内環境の悪化やメンタル不調に陥りやすくなる、などという話をしました。

ビタミンDは元来、骨を丈夫にするビタミンで、日光を浴びると体内で合成される、と我々は教えられてきました。しかしそれだけではなく、免疫力や腸内環境、メンタルヘルスなど幅広い分野に関係している重要なビタミンなのです。

ところがこの重要なビタミンDは、日本人の特に女性に於いて、非常に不足または欠乏している人が多い、という研究結果が続出しています。今年はコロナとの関連で注目されているビタミンDですが、日本人は本当に足りていないのです。

慶応大学附属病院の調査ですが、同病院の女性職員(医師・看護師・技師・事務員など)の血中ビタミンD濃度を調べたところ、不足または欠乏の職員が70~80%と高率で、特に若い方々の欠乏が著しい、という厳しい結果でした。

この調査で特筆すべきは、秋口の9月に行なわれたという事です。日照量の多い夏を過ぎた9月はビタミンD合成が盛んで、血中濃度が1年で最も高くなっている時期です。それにも関わらず「不足・欠乏」が圧倒的な多数となったのです。

仮にこの調査が冬から春先にかけての2月や3月に行なわれていたとすれば、ビタミンDの「不足・欠乏」の割合は、もっと多かったはずです。如何に日本人女性のビタミンD欠乏が深刻か、如実に分かるというものです。

 

なぜ日本人女性にビタミンD欠乏が多いのでしょうか。日光を浴びる量でいえば、現代人は昔ほど外出しなくなっていますし、特に若い女性は日焼けを避けて肌の露出を最小限にし、日焼け止めクリームを塗るなどの対策に余念がありません。

そこに今回の新型コロナの影響が重なります。外出自粛やテレワークなどのため、ただでさえ外出する時間の短い女性は、ますます外出しなくなりました。今年に入り多発している、いわゆる「コロナうつ」も無関係ではなさそうです。

それに加えて食事の影響も無視できません。ビタミンDというと日照ばかり注目されますが、ビタミンDの豊富な食品を積極的に摂る事も大切です。例えば鮭などの魚介類や海藻類、シイタケなどのキノコ類にビタミンDが多くなっています。

ところが日本人は近年これら魚介類や海藻類、キノコ類などを、あまり食べなくなってしまいました。特に若い世代に顕著です。そのような傾向が相まって、若い女性を中心とした日本人のビタミンD欠乏が深刻化しているのです。

ところが欠乏している栄養素はビタミンDだけではありません。ビタミンB群や鉄、亜鉛など各種の微量栄養素が軒並み欠乏している事が明らかとなりました。それが近年、「ウツ」などメンタル不調が急増している背景となっているのです。

次回以降は、ウツなどメンタル不調が増えている現状の分析、それに関する「蒲田よしのクリニック」の取り組みについて、お話していきます・・(続く)

蒲田よしのクリニック