今年もあと僅かとなりました。年末の慌ただしい中、皆様はいかがお過ごしでしょうか。それにしても2020年は端的に「コロナで始まり、コロナで終わった」1年といっても過言ではないでしょう。さて来年はどのような1年となるのでしょうか。

12月29日に今年最後の診療を行なった後、このブログを書いていますが、年末年始の休診に入ったはずの30日も「蒲田よしのクリニック」では、電話が頻繁に鳴り響いているほか、施錠したドアを開けようとする人もいらっしゃる模様です。

なぜ休診日に誰もいないクリニックに居るのかというと、ビジネス仲間と「職場のメンタルヘルス」に関する対談のライブ配信を行なったためです。クリニックが最も安定して撮影できるのですが、電話が頻繁に鳴り響いていたのがご愛嬌でした。

本当はブログを休診に入る前に書き上げたかったのですが、28日と29日の診療が殺人的な忙しさとなった事と、年末の掃除や棚卸しなどの作業のため、執筆に避ける時間が殆んどなく、年末ギリギリまで持ち越しとなってしまいました。

なぜそんなに混雑したのかというと、クリニックには定期的なプラセンタ注射や各種の点滴、ラドン温浴などに、多い日で60~70人ほどの方々が来院されますが、年末の「駆け込み」で来院者が急増し、28日は何と100人近くにまで上りました。

前回までのブログでもお話しましたが、プラセンタ注射などに通っている方々は、このようなコロナ禍に於いても、風邪一つひかずに安定した体調を維持している方が大部分です。逆に通院をお休みした方は、概して体調を崩しがちです。

今年の3月頃から「コロナ」にまつわる様々な体調不良やメンタル不調に見舞われた多くの方々が来られました。コロナ感染への不安や慣れないテレワークなど経緯は十人十色ですが、世間では「コロナうつ」「コロナ疲れ」などと報道されました。

一方そのような方々からお話を聞いていると、心身の不調の引き金は確かにコロナ関連といえますが、悩まされている症状や血液検査データの異常などは、コロナ以前から広くみられた心身の不調と比べ、何も変わりがない事が分かります。

以前から広く見られた不調とは何か。当院は内科のクリニックではありますが、来院する方々の症状をリストアップすると、憂うつ感や不安感、不眠、パニック障害など「メンタル不調」の方々がたいへん多く、まるで心療内科のような患者構成です。

男女比では女性が9割前後を占め、40~50代という更年期世代の女性が最も多数です。まさに「更年期障害」の症状に見舞われている女性がたいへん多く、この方々がプラセンタ注射などに取り組む最も主流の患者層となっています。

更年期障害というと、いわゆる「ホットフラッシュ」と称される火照りや多汗などの症状が有名ですが、それに頭痛・倦怠感などの身体症状、憂うつ感や不安感、不眠などのメンタル不調の症状が加わり、多彩な症状を訴える方が大部分です。

その傾向は開院した9年前から続いているのですが、ここ2~3年の状況をみると、そのような更年期世代が増えただけでなく、20~30代という若い女性、それに男性の患者も増えてきました。要するに、患者総数はかなり増加したのです。

特に増加の目立つ20~30代の女性は更年期世代に比べ、憂うつ感や不安感、不眠といったメンタル不調の症状が、とりわけ前面に出ている傾向が見受けられます。そのような事情から、心療内科を思わせる患者構成となっているのです。

来院する新規患者の何割かは、他の医療機関で通院治療中にも関わらず、当院の門をたたくのですが、その診療科で最も多いのが「精神科」或いは「心療内科」です。20~30台の若い世代では男女を問わず、その傾向がより鮮明です。

心療内科で治療中にも関わらず、なぜ当院へやって来るのか。多くの方々が口にするのが「薬を飲んでいるけど良くならない」とか「薬が効かなくなってきた」あるいは「薬の副作用が怖いので止めたい」といった薬に関係した不安や不満です。

メンタル不調に用いられる薬としては「抗うつ剤」や「抗不安薬」、「睡眠導入剤」などが挙げられますが、多くの患者に共通する課題として、次第に効果が薄れていく傾向、すなわち「薬剤耐性」が避けられない、という現実があるのです。

そのように薬に依存し治療が難航しているメンタル不調の患者は、どのような事がメンタル不調の原因と捉えているのでしょうか。大半の方々が訴えるのが「仕事や職場のストレス」です。これは若い世代も含め、幅広い年齢層に見受けられます。

その仕事のストレスとは、どのような物があるのでしょうか。少し前までは「残業続きでイライラする」とか「深夜まで仕事が続き心身ともにヘトヘトだ」などという、長時間労働に起因する不調が多かったのですが、今は少し減ってきた印象です。

それと並んで多いのが「職場の人間関係やコミュニケーション」に関するストレスです。一頃は「上司にガミガミ言われてウツになった」などの訴えが多かったものです。いわゆる「パワハラ上司」によるストレスですが、さすがに減少傾向です。

依然として多いのが「職場のコミュニケーションが悪く、憂うつだ」とか「社内で対立や派閥争いがあり、気が滅入る」など、職場内の複雑な人間関係を反映したような心身の不調が少なくありません。これはむしろ増加傾向のようです。

そのような労働時間や社内コミュニケーションに関係した根深い問題が、社員の心身のストレス要因となっているのは確かですが、それにより実際に体調やメンタルを病んでしまうかどうかには、たいへん大きな個人差があります。

つまり職場内に或る種のストレス要因があったとして、それにより心身の不調に見舞われる社員と、あまり調子を崩さない社員とがいるのです。現実には職場からのストレスを受けやすい人と、受けにくい人とがいる事になります。

なぜそのような個人差が生じているのでしょうか。それを解明する上で重要なポイントとなるのが「栄養バランス」とりわけビタミンB群などのビタミン各種、それに鉄や亜鉛などのミネラルです・・(続く)

蒲田よしのクリニック