吉野です。こんにちは。何と10日ぶりのブログ投稿となります。皆様お待たせしました。

この2月以来、週2回以上のブログ投稿を目指すと宣言し、実際に週2回から3回のペースで投稿してきましたが、早くも挫折したのか、などとお叱りを受けそうですね。

今回、10日も投稿の間隔が空いてしまったのは、次の二つの事情によります。

一つには、診療が総じて忙しくなってきているのに加え、企業の「社員面談」が多数入った事が挙げられます。

年末から年明けにかけてストレスチェックテストを社員に受けさせた企業が、「高ストレス」と判定された社員を対象に、医師による面談を私に次々と要請して来ました。年度末という事もあり、駆け込みで予約を入れてきた印象もあります。

忙しい診療中に、1件あたり小一時間を要する面談を行なう余裕はありません。そこで連日のように、昼休みを面談に充てるのですが、そのためブログを執筆する余裕がなくなってしまいました。

二つ目は「お花見」です。一つ目に比べればグッと砕けた理由ですが、早くも満開を迎えた桜を見に、毎朝のように早起きして桜の名所を歩いています。水曜日は上野公園、木曜日は千鳥ヶ淵、そして本日は目黒川、といった具合です。

今年は例年に比べ、開花も満開も1週間くらい早くなっています。冬の寒さと、春の記録的な暖かさのためです。早くも散り始めている場所もあり、お花見も時間との勝負です。明日の土曜日は隅田川沿いを廻ろうかと考えています。

それでも面談はピークを越え、お花見は早くも終盤です。来週からは従来通り、週2回以上のブログ投稿に戻れるかと思います。

さて本題に入ります。ラドン温浴など、微量の放射線を浴びる「低放射線ホルミシス療法」の有効性と安全性に関して、この1月以来、シリーズとしてお話してきました。

前回3月3日のブログで、低放射線ホルミシス効果は決して我々と縁遠い存在ではなく、身近に体験できる現象である事をお話し、その実例の一つとして、全国から難病患者が集まる「ラドン温泉」として有名な鳥取県の三朝温泉を取り上げました。

岡山大学の研究で、三朝町の住民は、全国平均や周辺市町村に比べ、ガンの死亡率が半分かそれ以下である、という驚くべき良好な結果が得られました。三朝町に住む方々は居ながらにして、たっぷりのホルミシス効果を享受しているのです。

そもそも低放射線ホルミシス効果を最初に提唱したのは、米国ミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー博士です。それは約25年前、「宇宙放射線」の人体への影響を調べる研究などから導き出されました。

当時NASA(米国航空宇宙局)はアポロ計画を推進中で、地上の数百倍の強さともいわれる宇宙放射線の、宇宙飛行士に対する健康上の影響について調査するように、NASAからラッキー博士の研究グループに要請があったのです。

NASAからの要請を受け、ラッキー博士らは10年以上の歳月をかけて調査を続けた結果、宇宙飛行士の浴びる強い線量の放射線は、健康に有害でないばかりでなく、むしろ健康面のメリットが大きい事が判明しました。

すなわち調査対象となった宇宙飛行士は一般人と比べ、様々な病気への罹患率が低く、体調が優れているばかりでなく、体を活性酸素の害から守る「抗酸化力」が明らかに向上している事など、健康上の有用なデータが幾つも提示されたのです。

この研究成果は、各方面から驚きをもって迎えられました。当時、放射線はたとえ微量であっても有害である、すなわち放射線量に比例した健康障害が発生する、という「直線的無しきい値仮説」が正しいと考えられていたために、低線量の放射線が体に良い、などと言われても、俄かには信じられませんでした。

この仮説を立てたのは、米国の遺伝学者H.J.マラー博士です。マラー博士は、ショウジョウバエのオスへの放射線照射実験で得られたデータで、照射した放射線量と発生した染色体異常の数は直線的に比例する、という仮説を発表し、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

この「マラー仮説」は多くの人に正しいと信じられていた影響もあり、ラッキー博士の論説は無視され、しばらくの間ほとんど顧みられないまま埋もれてしまいました。

そのラッキー博士の主張が脚光を浴びるようになったのは、ある日本人の研究者が起こした一連の行動がきっかけでした。これに関しては後日、詳しくお話します・・(続く)

蒲田よしのクリニック