吉野です。こんにちは。4月に入り新年度を迎えました。新しい職場や学校で意気込んでいる方も多い事でしょうし、異動はなくとも新しい仲間を迎え、環境の変化を実感している方も少なくないかと思います。

自身も仲間も環境も、何も変わらないという方であっても、4月の新年度というのは、何かと気ぜわしい時期ではないでしょうか。今年の場合、各種の値上げなどもあり、ストレスのかかりやすい新年度入りとなっています。

3日前のニュースで「春バテ」という用語が登場していましたが、それを解説していたのが私の知り合いの医師だったので、二度も驚いてしまいました。用語としては初耳でしたが、解説を聞いて「なるほど」と合点がいきました。

以前から「夏バテ」は広く知られていますが、近年「秋バテ」という言葉も広まりつつあります。ごく簡単に言うと、夏バテは猛暑に伴う体調不良、秋バテは残暑と秋口の変わりやすい天候に伴う体調不良と言えます。それでは「春バテ」の原因は何でしょうか。

典型的な春バテには、二つの原因があるようです。一つ目は「変わりやすい天候」ですが、これは秋バテと相通じる特徴です。天候が猫の目のように変わりやすく、寒暖の差が激しい春先の気候を反映し、体調も不安定となりやすいのです。

もう一つの原因として、冒頭の様な「環境の変化」が挙げられます。就職や進学、転勤など自分自身の異動はもとより、周囲の人的な環境の変化は、心身にストレスとなりやすく、天候の変化と相まって、健康の不安定要因となりやすいのです。

さて本題に入ります。春バテとともに、相変わらず「花粉症」が大流行りとなっています。今年はスギなどの花粉の飛散開始が例年より早く、またその量もかなり多い模様です。

花粉症の治療で来院された方々に聞いても、皆さん口々に「今年は花粉が多い」とか「今年の花粉症はいつもよりひどい」などと話されます。どうやら今年は花粉症の「当たり年」だった模様です。

ところで今年の花粉症は、いつまで続くのでしょうか。例年、桜が開花する前後の時期に、スギからヒノキに花粉の「主役」が入れ替わります。スギもヒノキもアレルギーの症状は同じなので、はっきり主役が入れ替わった、という実感はないのが普通です。

確実な予想は出来ませんが、例年通り5月の連休前後までは続く、と見た方が良いでしょう。飛び始めが早かった分、飛び終わりも早いと期待したくなりますが、量がとても多いため、かなりの長期間に及ぶ恐れもあるのです。

さて3月10日のブログでは、花粉症などのアレルギーを根本から克服するためには、「腸内環境」を整える事が大切である、などとお話しました。

腸には免疫細胞の約7割が集まっており、また夥しい数の腸内細菌が棲息しています。腸内環境を維持、改善させる事が、免疫力を向上させる事などを通して、アレルギーを克服する事に直結するのです。

それでは腸内環境を改善させるためには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。最も効果的な方法の一つとして、「乳酸菌」の活用が挙げられます。すなわち、腸内細菌を補強、活性化させる、いわば正攻法としての取り組みです。

現代の文明社会では、アレルギーに悩まされる人が明らかに増加しています。その要因の一つとして、「過剰に清潔な環境」が指摘されています。清潔な環境を求めるのが文明の一つの方向性と言えますが、それでアレルギーが増えたとすれば、皮肉な結果です。

新興国や近代以前の人類、野生動物は「清潔でない環境」に身を置いています。そこでは常に細菌などの病原体に囲まれているため、免疫力が自ずと鍛えられています。つまり免疫細胞と病原体との共存あるいは戦いの中で、生きながらえているのです。

ところが先進国の現代人は、洗剤や保存料、抗生物質などの活用により、とても清潔な環境に暮らしているため、免疫力を鍛える機会が減ってしまいました。そのため行き場を失った免疫が、体内でアレルギーという「反乱」を起こしてしまうのです。

それならば我々現代人は、野生動物や近代以前の人類を見習って、清潔でない環境に身を置くのが良いのでしょうか。しかしそれは無理な話です。我々は清潔な環境に慣れ親しんでおり、今さら不潔な環境に身を置きたいなどとは、とても思えません。

そこで活用したいのが「乳酸菌」です。乳酸菌は腸内細菌叢を構成する主要な細菌の一つであり、多様な働きをしています。その一つが免疫力の調整・強化です。乳酸菌を補強すると免疫力が強化され、風邪などに罹りにくくなり、アレルギーも緩和するのです。

それでは生きた乳酸菌を服用するのが良いのでしょうか。もちろんそれも一つの方法ですが、必ずしも生きた乳酸菌にこだわる必要はありません。乳酸菌の死に菌でも大丈夫です。

乳酸菌の補給で大切なのは、何よりその「量」です。それに関しては後日、詳しく解説します・・(続く)

蒲田よしのクリニック