吉野です。こんにちは。パソコンが相変わらず不調で、日によっては執筆の作業がなかなか進みません。当面はパソコンのご機嫌をうかがいながらのブログ投稿となりそうです。

さて熱戦の続いた平昌(ピョンチャン)オリンピックが、ついに閉幕しました。大いに楽しませてもらいましたが、終わってしまうと少し淋しい気もします。
チケットの売行きや施設整備の遅れなど、様々な不安要因を抱えての開幕でしたが、日本人選手の好成績なども後押しし、まずまずの盛り上がりだったと思います。2年後の東京オリンピック、さらに4年後の冬季・北京オリンピックが早くも楽しみです。

そのような明るいスポーツの話題の後に、少し暗いお話となります。お祭り気分に水を差すようですが、とても大切なお話です。ご了承ください。

本日から3月が始まりますが、3月は「メンタルヘルス」に関して、若干気になる時期の一つです。何年か前の統計ですが、一年で最も自殺者の多い日は3月1日である、との発表がありました。月初の1日に限らず、3月は自殺者の多い月として、企業の人事や社労士などの間では知られていました。
自殺者の多さだけでなく、うつ病や不眠、情緒不安定などのメンタル不調、あるいは全身倦怠感や頭痛、過敏性腸症候群など体の不調を訴える方が、3月はとりわけ多いという印象があります。医療機関への来院のみならず、人事担当者による産業医などへの相談事も、3月は多めとなっています。

蒲田よしのクリニックに於いても、メンタル面や体調面の相談事、診察依頼は毎日のようにあるのですが、3月は例年のように、他の月よりも多い傾向があります。
個人で来院される場合が主ですが、時には企業の人事や総務の方が、自社の従業員に関して相談に来られたり、社労士や会計士など士業の方が、クライアント企業の従業員に関する相談を持ちかけて来られる事もあります。

3月は何故、うつ病などメンタル不調や倦怠感など体の不調に見舞われる人が多く、またその影響として自殺者が多くなるのでしょうか。これには様々な季節的要因、例えば変わりやすい天候なども関係していると思われますが、一つの大きな要因として挙げられているのが職場の「人事異動」です。
3月は年度末であり、人事異動に限らず忙しいものです。心身ともに疲労が溜まっている時期に、4月からの人事異動が発表となります。人事異動には昇進、降格、転勤、退職、転職など様々なパターンがありますが、多くの人にとって大なり小なり重要な「ライフイベント」となります。

ライフイベントには人事異動のほか、結婚や離婚、就学、就職、大病への罹患、大けが、肉親の死、多額の借金、起業、引っ越しなど様々なものがありますが、良い意味でも悪い意味でも「ストレス」となって心身に降りかかります。同じストレス源であっても、それによる心身への影響には、驚くほどの個人差が存在します。
例えば人事異動による昇進や昇給、栄転などは通常、喜ばしい異動と考えられています。また受験合格を経ての進学、あるいは結婚なども一般に、幸せな変化と捉えられます。しかしながら世間一般の通念と、当の本人が経験する心身への影響とは、また別物です。周囲からは良さそうに見える環境変化が、本人にとって本当の意味で幸せな変化であるとは限りません。

一例をあげると「昇進うつ」という、うつ病の一病型が存在します。これは文字通り、昇進を機に発症あるいは増悪する、うつ病の一つのタイプです。昇進という喜ばしい異動にも関わらず、何故うつ病が発症あるいは増悪するのでしょうか。

それは一つには昇進によって、業務上あるいは役職上の「責任」が大きくなるためです。これまでは自分の業務にのみ集中していれば良かったものが、昇進後には部署全体の業務に目を配り、その結果に責任を負わなければなりません。それを考えると気分が憂うつになり、本格的なうつ病を発症する事もあり得るのです。
一方で、一種の「孤独感」を感じやすい側面もあります。昇進により、それまで机を並べていた同僚と役職に差が生じ、心理的な距離感が発生しやすくなります。もちろん新たな人脈も生まれるのですが、当初はそれに順応できず、心身に不調を来たしがちとなります。昇進は、意外と大きなストレスをもたらしかねないのです。

昇進などの異動も含め、大きな環境変化を味わう事が多い3月ですが、その3月をどのように切り抜ければ良いのでしょうか。そのための工夫は意外な所にあります。
詳細は後日お話しますが、その工夫の一つは「食事と栄養」です・・(続く)

蒲田よしのクリニック