吉野です。こんにちは。朝晩と日中の気温差が大きくなってきましたが、皆さん如何お過ごしでしょうか。夜はめっきり涼しくなって寝つきも良くなった反面、晴れさえすれば日中はけっこう暑くなる日もあります。今はまさに、秋と夏が混在したような季節とも言えますね。その日中の暑さに関しても、昔から「暑さ寒さも彼岸まで」との言い伝えがある通り、もう2~3週間もすれば和らいでくるものと予想されます。

私は先の日曜日に、神奈川県三浦市へ出張してきましたが、昼頃は暑さでクラクラする程でした。久々に30℃越えだった模様です。ちょうど日傘があったので久々に開き、ずいぶんと助かりました。一仕事終えた後、城ケ島まで初めて足を伸ばしましたが、たいへん素晴らしい眺めでした。特に島の東端にある展望台からは、房総の山々がくっきりと青空に映えていました。暑さはあったものの、どこか秋の気配も感じる一日でした。
そしてもちろん三崎漁港のマグロなど海の幸も、しっかり堪能しました。驚いたのは、地魚料理を提供するお店の数です。こんなに多くて競争も大変ではないかと心配する程、本当にたくさんあるのです。城ケ島から戻ってきた後に、何となく「旨そうだ」と直感的に入ったお店は、お昼時を過ぎていたにも関わらず、殆んど満席でした。マグロ赤身の新鮮さも感動的でしたが、「マグロ珍味3点」は腰を抜かすほどの美味でした。

ところでマグロも結構なのですが、「秋の味覚」は何といってもサンマです。毎年の様にお盆過ぎ頃から店頭に並び始め、9月に入ると三陸沖などで獲れたサンマが値段も手頃になり、飲食店などの定番メニューとなります。ところが今年はスーパーでも飲食店でも、サンマをあまり目にしないのです。たまに見つけても値段が高く、また全般にサイズが小ぶりです。前述の三崎漁港のお店にも「サンマの塩焼き」がありませんでした。
サンマが少なく、しかも小型で高価なのは、ひとえにサンマの「不漁」のせいです。今年のサンマ漁は今のところ、不漁だった昨年よりも更に漁獲が減っているそうです。このところの不漁傾向は、昨年や今年に始まった事ではありません。不漁の原因としては一つには、地球規模の温暖化による海水温の上昇により、サンマが日本近海に寄り付かなくなった事が挙げられています。サンマが回遊コースを変えているというのです。

もう一つの原因は、中国や台湾など周辺諸国による「爆漁」です。サンマは北太平洋から三陸沖にかけて回遊していますが、三陸より遥か東方沖合の公海上に向かって、何十隻もの巨大な漁船団を組んで彼らはやってきます。公海上なので国際法上の違法性はないため、我が国としても表立っては取り締まりできないのです。北太平洋漁業委員会に漁獲枠の制限を提案しましたが、中国などの猛反発に遭ってしまいました。
サンマは日本特有の魚と考えがちですが、最近はそうとも言えなくなってきています。確かにサンマを用いた中国料理などは想像しにくいものですが、所得の向上や日本食ブーム、健康志向などの影響で、中国や台湾などでもサンマを食べる人が確実に増えてきているそうです。またサンマ漁は「カネになる」と思われている面があります。缶詰などに加工してロシア等へ輸出し、割の良いビジネスとして成長している模様です。

さて本題に入ります。前回までの考察で、晩夏から初秋にかけての時期に於ける体調管理の上で、運動とりわけ「水泳」が有効である、などと解説しました。雨がちな初秋は浮腫みやすいものですが、水泳は水圧の効果で浮腫みの改善に役立ちます。また晩秋から冬にかけてはメタボの季節となりますが、水泳は見た目よりもカロリー消費が多くなるため、今のうちにメタボ対策に取り組むには、うってつけの運動種目なのです。

水泳などの運動と並んで、何といっても「食事と栄養バランス」が初秋の時期の健康維持には、特に重要です。何回かご説明した通り、この時期は季節の変わり目で寒暖の差が大きく、また雨が多いため湿気が多く、体調が不安定になりやすいものです。例えば浮腫や倦怠感、不眠、憂うつ感、肩凝り、頭痛などの様々な症状が、夏場から引きずる形で遷延している人が少なくありません。いわゆる「秋バテ」のパターンの一つです。
初秋に限った話ではありませんが、体調が不安定になりやすい時期には、えてして栄養バランスが乱れがちです。それは食欲が低下して栄養の摂取量が減少する場合もありますが、もう一つの可能性として、気候の変動とそれによるストレス等により、栄養の「ロス」が多い事が考えられます。ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養素が、環境の変化などに対応するため、消費量が多くなるという事情があるのです。

栄養の消費が多くなるというのは、どのようなカラクリによるのでしょうか。例えばビタミンB群はタンパク代謝や糖代謝など多くの代謝経路に関与する栄養素群ですが、様々な理由により消費量の増大する場面が多々あります。実際に、野菜や肉、豆類などをバランスよく食べているはずなのに体調が悪く、血液検査をしたところビタミンB群が不足しているというデータが得られた、などという場合が少なくないのです。
それでは、どの様な場合にビタミンB群の消費量が多くなるのでしょうか。その一つに「ストレス」があります。心身にかかるストレスが大きくなると、それを緩和する目的でビタミンB群が多量に消費されます。同様に睡眠不足や長時間の頭脳労働、集中的な学習などでもビタミンB群がたくさん使われます。気候変動や気温の大きな変化、雨天続きなどもストレスとなり得ますので、ビタミンB群の消費量が増加しがちです。

消費量が増えるのはビタミンB群だけではありません。ビタミンCやビタミンDなど各種ビタミン、鉄や亜鉛、マグネシウムなどの各種ミネラル、タンパク質や各種アミノ酸なども、各々固有のメカニズムはありますが、おしなべて心身のストレスにより消費量が増える傾向があります。季節の変わり目など環境の変化に伴う心身のストレスは、栄養素の需要そのものを押し上げる働きをするのです。

気候変動などのストレス増大により栄養素の消費量が増えた場合、どのような対応が必要なのでしょうか。もちろん負けずに栄養素を補給する心構えは必要です。それと同時に、栄養素の「消化と吸収」の効率を上げるような取り組みも求められます・・(続く)

蒲田よしのクリニック