吉野です。こんにちは。年度末が近付いてきており、忙しい日々をお過ごしの方も多いものと思います。お疲れの方も少なくありませんが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

風邪やインフルエンザは相変わらず猛威を振るっております。蒲田よしのクリニックに於いても、ご近所の方を中心として連日のように、発熱や咳、のどの痛みなど風邪やインフルエンザを思わせる症状に見舞われた方が、多数やって来ます。
そのような方々に対しては通常、風邪薬やインフルエンザ薬などの処方をする事になりますが、一部の方はマイヤーズカクテルなどのビタミン点滴、にんにく注射、或いはラドン吸入などを希望されます。薬を飲みつつ点滴などを受けると、治りが比較的早いように見受けられます。

さてその風邪に関してですが、ここにきて少し様相が変わってきました。発熱や咳などの風邪に交じって、「鼻かぜ」の症状が主体の方が、ジワジワ増えてきているのです。咳だけでなく、鼻水や鼻づまり、くしゃみ等を訴えてきます。従って一般的な風邪薬に加え、鼻炎に対する薬を併用する方も少なくありません。
鼻炎症状を訴える方の多くは元々、アレルギー性鼻炎すなわち「花粉症」をお持ちです。本格的な花粉症の症状に見舞われている方は未だ少ないものの、風邪をひいた事が引き金となって、鼻炎症状が現れ始めているのです。風邪を契機に、いよいよ本番の花粉症に突入する方も多々あります。

気象庁などの発表によれば、この春の「スギ花粉」の飛散量は、全国的に多い傾向がある、とされています。昨夏の日照不足や長雨を考えると意外な感じもしますが、予報通りだとすると、花粉症をお持ちの方にとっては例年以上に心配な春となりそうです。今のうちから備えておくに越した事はありません。
花粉症は例年、2月後半頃からスギ花粉が飛び始め、3月から4月にかけてピークを迎えます。桜の開花前後を境にスギからヒノキに花粉の「主役」が交代し、遅い年では5月の連休近くまで花粉症のシーズンが延々と続きます。
すなわちギとヒノキの両者にアレルギーのある方は、2か月から3ヵ月もの長い期間にわたり、花粉症の諸症状に苦しむ事となるのです。

一般に花粉症に対する治療としては、薬物療法が主力と考えられています。その代表格が「抗ヒスタミン薬」です。鼻水やくしゃみ、目の痒みなど花粉症の症状を訴えて内科や耳鼻科、アレルギー科を受診すると、多くの場合この抗ヒスタミン薬が処方されます。抗ヒスタミン薬には内服薬の他、点鼻薬や点眼薬などもラインナップされています。
やや専門的な話になりますが、花粉症の症状を引き起こす物質の一つに「ヒスタミン」があります。花粉の体内への侵入により、血液細胞の一つである肥満細胞が刺激を受け、ヒスタミンというたんぱく質を分泌します。ヒスタミンは血管を拡張し、粘膜などからの分泌物を増加させ、末梢神経を刺激します。その結果、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目の痒みなどのアレルギー症状を引き起こすのです。

抗ヒスタミン薬は文字通りヒスタミンの働きを抑制するため、ヒスタミンによる刺激症状、すなわち鼻水や鼻づまり、目の痒み等の症状を緩和します。個人差はありますが、その効果はかなり強力で、鼻水などの症状がピタッと収まる場合も少なくありません。症状が速やかに軽減すると一見、治ってしまったかの錯覚を覚える程です。
ところが話はそう簡単ではありません。薬の効果はせいぜい丸一日しか持たないため、内服した翌日には症状が再び現れます。そのため毎日のように薬を飲み続けなければ、症状を抑え込めないのです。すなわち抗ヒスタミン薬は、鼻水など花粉症にまつわる症状を緩和する効果はありますが、その根本原因を解決している訳ではありません。
もう一つの問題は副作用である「眠気」です。抗ヒスタミン薬は症状を緩和する効果が高いため、花粉症のシーズンの度に愛用している方が多い反面、この眠気を嫌って敬遠している方も少なくありません。特にドライバーやハードワーカー、研究職などの方に顕著です。

そういう事情もあり、抗ヒスタミン薬などの薬物療法に頼り切りというのも、考え物です。今まさに直面している症状を薬で緩和しつつ、薬に頼らない方法で根本的なアレルギーの解消を目指す、という視点は必要です。薬はあくまで「対症療法」に過ぎないのが現実です。

それでは花粉症、あるいはアレルギー性鼻炎を根本的に解消するためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。その一つのキーワードは「腸内環境」です。それに関しては後日、詳しく解説します・・(続く)

蒲田よしのクリニック