院長の吉野です。皆さんこんにちは。
それにしても毎日のように雨が降りますね。地域によってはそうでない所もあるようですが、とりわけ関東地方は本当に雨がちな天候が続いています。台風の影響もありましたが、日によってはザーザーと雨が降ります。1週間のうち、雨が降らないのは2日あるかないかです。だんだん雨を見るのもイヤになってきました。
それに、あまり晴れ間というものがありません。例えば先週23日の天気予報では、これまでの1週間で日照時間が6分間であった、との説明がありました。1週間で6時間、ではありません。たったの「6分間」です!まとまった時間、お日様を見ていないような気がします。十五夜の晩も含め、月も1か月くらい殆んど見ていません。

このような雨降り続きの天候の原因は、主として「秋雨前線」です。誰かが「まるで梅雨のようですね」といっていましたが、まさに梅雨そっくりの気象条件です。日本列島付近に横たわる停滞前線に向かって湿った空気が流れ込み、長雨となっているのです。但し梅雨と違うのは、台風がしばしば来襲してくるということです。
このように雨続きで日照不足の状態を反映してか、体調不良の方が増えています。蒲田よしのクリニックにも、連日のように「体がだるい」「足が浮腫む」「めまいがする」「気分が憂うつだ」などと訴えて来院する方が後を絶ちません。夏バテの時期は一段落しましたが、それとはまた一味違った体調不良が多発しているのです。

体調不良の原因には幾つかの要素がありますが、その一つは「湿気」です。連日の雨天により湿度は高い状態が続いており、それによる健康障害が多発しています。漢方には古来より「水毒(または水滞)」という概念がありますが、これは雨や湿気などの影響で体内の水の流れが滞留し、水が各部位に貯留するため、様々な症状が現れます。
代表的な症状に「浮腫」があります。夕方になると足がパンパンになる、朝起きた時、顔が浮腫んでいる、などがそうです。耳の周辺が浮腫むと「めまい」に繋がります。三半規管内の圧が変化し、めまいを誘発するのです。気道の分泌物が増えると「水っぽい痰」となって現れます。また排尿が阻害された場合には「夜間頻尿」となります。

二つ目の原因は「気圧の変化」です。毎週のようにやって来る台風によって、気圧の急激な変化が起こります。台風以外にも、移動性高気圧や前線の移動により、気圧が大きく変化します。秋口は春先と並んで、気圧の変化が大きい季節なのです。気圧の変化により自律神経やホルモンのバランスに異変が生じ、様々な症状の引き金となります。
低気圧や台風による気圧の変化で誘発されやすい症状の一つに「喘息」があります。気圧の変化により自律神経が不安定となり、気管支が収縮して喘息発作が誘発されるのです。一方で「関節リウマチ」の方にとっても気圧の変化は憂うつなものです。関節腔内の圧が変化し、強い痛みを誘発しがちです。また「めまい」も起きやすくなります。

次に「日照不足」という要因も軽視できません。日光を浴びるとビタミンDが体内で産生され、カルシウムの吸収の促進を始めとして、多様な健康上の作用をもたらしますが、日照が足りないとビタミンD不足を通して、骨や皮膚、メンタル、体調全般に関する様々な不調を引き起こしやすくなります。
日照が不足すると一つには、免疫力が低下し風邪などをひきやすくなります。さらにカルシウム不足と相まって、メンタル不調の誘因となります。北国などに多い「冬季うつ病」と共通した要因といえます。また長期的な変化として、やはりカルシウム不足も関係した骨粗しょう症の増悪を招くとされます。いわば「心も骨も弱くなる」のです。

一方で初秋は、暑い夏の続きの季節であるため、いわゆる「夏バテ」的な体調不良を引きずっている人が少なくありません。すなわち暑さのための食欲低下、体のだるさ、不眠傾向などの症状が、涼しくなってきた秋の初めの時期までも、ダラダラと続くのです。このような状態を「秋バテ」と表現する向きもあるようです。
その秋バテですが、今年は例年よりも蒸暑さが長引いたため、とりわけ悩まされる方が多いような印象です。秋バテによる不調をベースとして、長雨や台風、日照不足の影響が複合的に関わり合い、しつこい体調不良となっているのです。このような一連の気象条件の変動に伴う体調不良は「気象病」とも呼ばれています。

こうした厳しい気象条件の中でも健康を良好に保つためには、どのような工夫が必要なのでしょうか・・(続く)

蒲田よしのクリニック