院長の吉野です。こんにちは。各地で桜が満開となっていますが、皆さんの地域では如何でしょうか。東京など関東地方では開花こそ早かったものの、寒の戻りの影響もあり、「満開」はむしろ平年より遅くなりました。開花から満開まで2週間近くもかかり、待ちに待った満開に、お花見を待ちきれなかった方も多いのではないでしょうか。連日のように、上野公園や千鳥ヶ淵など桜の名所は花見客でごった返しています。
とはいえ、先週の週末は雨がちな地域が多く、お花見は少し大変だったのではないかと思います、相変わらず寒暖の差も激しく、前日と10℃くらいの気温差となる日も少なくありません。朝晩と日中との温度差も大きいため、何を着て行けば良いか迷ってしまいます。それに雨や風の影響もあり、せっかくのお花が早くも散り始めているようです。東京などでは、そろそろお花見も終盤を迎えつつありますね。

桜の開花に合わせるように、スギ花粉症もピークを迎え、一部では峠を越えたといわれています。電車内などで盛んにくしゃみを連発させる人は相変わらず多く、蒲田よしのクリニックにも花粉症の薬を求めて来院する方は減っていないのですが、東京などでは実数としてのスギ花粉はピークを過ぎつつあるようです。地域により差はありますが、おおよそ桜の開花を合図として、スギ花粉が減少に向かいます。
ところが花粉症の方にとって、まだまだシーズンは終わりを迎えません。というのは、スギ花粉が終息に向かう一方で、これからは「ヒノキ花粉」が飛び回るためです。関東地方の場合、スギ花粉は2月から3月にかけて飛散しますが、それが一段落した後の4月中頃から5月いっぱいにかけて、ヒノキ花粉が飛散するのです。従ってスギとヒノキを合わせ、2月から5月まで事実上、花粉症シーズンが続きます。

人によってはスギ花粉のみに反応する場合もあり、そういう人にとっては4月前半で花粉症の症状も一段落となります。しかしながら多くの人は、スギとヒノキの両者に反応します。仮にスギだけに反応する人であっても、経過とともにヒノキにも反応するようになる場合が少なくありません。すなわち4月初めで花粉症の症状が収まっていたのに、ある年から5月まで延々と悩まされるようになるのです。
もっと大変なのは「通年性」の花粉症です。スギ、ヒノキばかりでなく、夏から秋にかけてのカモガヤ、ハルガヤ、ヨモギ、ブタクサなど草木類の花粉にも悩まされる方が少なくありません。さらに梅雨時や冬場など、花粉があまり飛ばないような季節にも、ダラダラと症状が続く、通年性の花粉症の人が、最近とりわけ増えてきている模様です。このような場合は、ハウスダストやカビ、ダニなどがアレルゲンとして加わります。

さて前回のブログで、風邪や花粉症の予防、悪化防止のためにはビタミンやミネラルの他に、各種の抗酸化物質の補給が欠かせない、とお話しました。実際に抗酸化物質を豊富に含んだ食品を摂取すると、花粉症などのアレルギー症状が明らかに緩和することが証明されています。そして、それと並んで大切なのが「油」の上手な摂取法です。

油というと、摂り過ぎれば肥満や動脈硬化の原因となる、出来れば敬遠したい栄養素という印象がありますが、決してそんな事はありません。油はとても大切なものですし、風邪や花粉症の予防のためにも欠かせないものです。「油断」などという言葉もありますが、油が不足すると、肌が乾燥しやすくなるばかりでなく、粘膜が弱くなり、免疫力が低下することで、風邪や花粉症などにも罹りやすくなってしまいます。
但し油は種類とそのバランス、それに品質が決定的に重要です。良くない品質、バランスの悪い油の摂り方をすると、動脈硬化や免疫力低下などに繋がり、脳梗塞など血管の病気、花粉症や喘息などアレルギー疾患、さらにはガンにも罹りやすくなってしまいます。反対に良質な油をバランスよく摂った場合、動脈硬化やアレルギー体質は改善に向かい、ガンの予防にも繋がることが指摘されています。

それでは我々はどのような油を、どのように摂取していけば良いのでしょうか。先ず議論となるのが動物性と植物性という、2つの油脂の違いです。よくある通念として、動物油はコレステロールが多いので良くない、一方の植物油はヘルシーでコレステロールも上げない、などという評価がありますが、これは医学的に見て、本当に正しいのでしょうか。実は、必ずしもそうではないのです。
動物油は確かにコレステロールの含有量が多いのですが、常温では固体であり、化学的に安定しています。油脂に関しては、この「安定性」がとても重要です。化学用語では飽和脂肪酸で構成され、脂肪酸の炭素列に水素がびっしりと結合しています。そのために酸化や熱変性に強く、体内に入っても体に強い酸化ストレスを与えることがありません。動物油は意外にも「体に優しい油」なのです。

これに対して植物油は多くの場合、常温で液体です。そして案外、化学的に「不安定」です。動物油とは対照的に不飽和脂肪酸から成り、脂肪酸の炭素列で所々、水素が抜けて炭素原子同士が二重結合を形成しています。化学的に不安定というのは、一つには「酸化」しやすいこと、二つには熱変性しやすいことを意味します。実際に植物油は、時間の経過とともに傷みやすい、加熱により変質しやすい傾向があります。
従って植物油の使用と摂取には、細心の注意が必要です。第一に、古くなった油はできるだけ使用しないことが大切です。買い置きして古くなったサラダ油などは、悪臭がして料理の味を台無しにしますが、それだけでなく体を酸化させてしまいます。また揚げ物などの際に高温で加熱すると熱変性し、やはり体にとって酸化ストレスとなります。そのため植物油を用いた炒め物や揚げ物は、頻回に口にしないことが大切です。

植物油には幾つかの系統がありますが、摂取する上ではその「バランス」が決定的に重要です・・(続く)

蒲田よしのクリニック