吉野です。こんにちは。今回もお天気の話から始めます。「また天気の話か」などと呆れている方もいらっしゃるかも知れませんが、本日のテーマと関係がありますので、少しだけお付き合いください。

8日は東京では最高気温が6℃と真冬並みの寒さで、しかも冷たい雨が一日中、降り続きました。春らしい暖かい陽気から一変、急激な寒さに身を震わせた方も多い事でしょう。春先の変わりやすい天候に、体がなかなかついていけません。

ところが診療終了後の夜8時頃、帰宅途中で感じたのは妙な「生暖かさ」でした。雨が相変わらず降り続いていたので、湿気でベトベトします。春先というよりも梅雨入り間近、という風情です。急に気温が上がった模様で、夜間は10℃を超えた模様です。つまり夕方から夜間にかけ、気温の急上昇があったのです。

このような気温の乱高下、寒暖の差は春先特有の気象現象ですが、大なり小なり体調を不安定化させる要因となります。実際に、めまいや体の怠さ、情緒不安定、頭痛、不眠など、様々な体調不良を訴えて来院する方が、天候の変動があった際には増加する傾向が明らかにあります。

そうした中で、天候の影響をとりわけ強く受ける病気、体調不良があります。それは、言わずと知れた「花粉症」です。花粉症、すなわちアレルギー性鼻炎は、気温や湿度、風速および風向き等の気象条件の影響を、とりわけ強く受ける疾患の代表と言えます。

実際に、晴れて暖かくなった先週末から今週はじめにかけては、くしゃみや鼻水などに苛まれる人が目立ちましたが、寒く雨の降った8日あたりは、そういう人が少ない印象でした。長年の花粉症患者の方からは、「寒い日や雨の日はとても楽だ」などというお話がよく聞かれます。

さてその花粉症に関してですが、2月20日のブログで、この春はスギ花粉の量が多そうだ、との予報を紹介した上で、花粉症の症状、すなわち鼻水、くしゃみ、目の痒みといった症状は「ヒスタミン」という物質が関係している事、そのヒスタミンの働きを抑制する「抗ヒスタミン薬」が症状の緩和に有効である事、を説明しました。

その一方で、抗ヒスタミン薬の効果はあくまで対症療法に過ぎず、花粉症というアレルギー疾患を根本的に治している訳ではない事、そして眠気などの副作用がある事を指摘した上で、薬に頼り過ぎるのは考え物であり、アレルギー体質を根本から克服する視点を持つべきである、とお話しました。

それでは花粉症を引き起こすアレルギー体質を根本から改善するには、何がポイントとなるのでしょうか。アレルギーには様々な要因が関係しますが、一番注目されているものの一つが「腸内環境」です。腸の内部環境を整える事が、アレルギーを抑制し、花粉症の症状を緩和する事につながるのです。

なぜ腸の環境の良し悪しが、アレルギーや花粉症の行方を左右するのでしょうか。それは一つには、腸が「免疫」の中枢であるためです。顆粒球やリンパ球など免疫細胞の約7割は、腸に集中しています。腸内には食物と伴に多数の細菌が入り込んで来るため、それに備える意味で、多くの免疫細胞を配置しているのです。

腸内環境が何らかの原因で乱れると、免疫細胞の数が減少し、機能も低下します。そのため細菌など病原体に対する抵抗力が低下し、またアレルギー反応が出やすくなります。花粉症などアレルギー症状に悩まされる人に、便秘や過敏性腸症など、胃腸のトラブルを伴いやすい事も知られています。

また腸内には、夥しい数の「腸内細菌」が棲息しています。腸内細菌の数は個人差がありますが、人体の細胞数60兆個よりも多い、約100兆個とも言われています。腸内環境のレベルは、この腸内細菌の数と質で左右されます。いわゆる「善玉菌」が減少し、反対に「悪玉菌」が増加すると、腸内環境は大きく悪化します。

それでは、どのようにすれば腸内環境を良い状態に保てるのでしょうか。それには幾つもの方法がありますが、その一つは「乳酸菌」の活用です。詳細は後日、お話し致します・・(続く)

蒲田よしのクリニック