吉野です。こんにちは。12月も半ばとなり、年末を控えて何かと慌ただしい日々と思いますが、皆さま元気にお過ごしでしょうか。

それにしても、真冬並みの寒さが続いています。寒さだけでなく、地方によっては雪も例年より多くなっています。北海道や東北、北陸などでは、12月に入って早々に大雪の傾向となっており、本来は1月や2月に活躍する除雪車が、所によっては早くもフル稼働の状態だそうです。
東京などでも雪こそ降らないものの、最高気温が10℃前後またはそれ以下と、例年より低めの気温が続いています。街ゆく人も厚手のコート姿が目立ち、多くの人は手袋やマフラーを身に着けています。年末まで間がある今の時期にしては、やや珍しい光景です。コンビニなどでも、おでんなど温かいものが飛ぶように売れています。

このように今年の冬は、どうやら「寒い冬」となっています。これは日本だけの現象ではなく、韓国や中国、ヨーロッパ、それにアメリカなどでも、軒並み寒い冬となっている模様です。数日前のニュースでは、フランスで大雪が降り、車やトラックが立ち往生している様子が映しだされていました。
このように世界的な強い寒さをもたらしている原因は何でしょうか。これもニュースの天気予報で、「北極振動」が原因ではないか、と気象予報士が説明していました。
この北極振動が原因となって、日本など東アジア、欧州、それに北米などで、軒並み例年以上の厳しい寒さとなっている一方、米国西海岸のカリフォルニア州では、逆に高温と乾燥、強風のために大規模な山火事が発生している、というのです。

北極振動とはごく簡単に言うと、北半球に於いて、北極付近と中緯度付近の気圧差が変動する現象で、それにより冬の寒さが厳しくなったり緩んだりと、様々な気象の大きな変動をもたらす要因の一つとされています。
北極付近の気圧が低く、中緯度付近の気圧が高い場合には、東西方向に流れるジェット気流が強くなるために、北極付近に寒気が蓄積しやすくなります。その結果、暖冬傾向となる事が多いとされています。
反対に北極付近の気圧が高く、中緯度付近の気圧が低い場合には、逆にジェット気流が弱くなるために、北極由来の寒気が中緯度付近まで南下しやすくなります。その結果、厳冬や大雪となることが多いとされます。

その考え方からすると、今年の場合は北極付近の気圧が高く、中緯度付近の気圧が低いという事になります。その結果、北極から寒気が南下し、日本や欧州、北米などで寒い冬となっている、と説明できます。
もっとも寒気の南下はイレギュラーなため、カリフォルニアのようにむしろ高温傾向となっている地域もあり、世界的に寒さ一色という訳では必ずしもありません。従って気象条件の変化によっては、一転して寒さが緩んでくる可能性もありそうです。

それでは本題に移ります。前回の考察では、風邪やインフルエンザに対する免疫力を向上させるためには、「体を温める」事が大切である、と説明しました。基本的に風邪やインフルエンザのウイルスは熱に弱く、反対に人間の免疫力は体温が高くなると強まるためです。
体を温める日常的な工夫には様々なものがありますが、最も身近で簡単なものの一つに「お風呂」の活用があります。お風呂に入るだけで免疫力が上がるのか、と不思議に思うかもしれませんが、お風呂の入り方を工夫することで、風邪などに罹りにくくなることは充分に可能です。

お風呂に関して大切な要素の一つに「湯温」があります。体を温めるといっても、熱過ぎるお湯に浸かっては、かえって逆効果です。健康のために程よい湯温というものがあるのです。
季節や体質によって若干の違いはありますが、概ね「40℃弱」の湯温が最も良い、とされています。つまり39℃から38℃という、多くの人にとって「ちょっとぬるいかな」と感じるようなお湯の温度かと思います。
なぜ、そのような少し温めのお湯が体に良いのでしょうか。一つには、そのような温めのお湯の方が「ゆっくり浸かれる」ためです。

入浴で大切な事の一つは、体を「芯から温める」事です。そのため3分や5分の入浴時間では、あまりに短時間過ぎます。最低でも10分、できれば15分から20分くらいはお湯に浸かりたいものです。
もし一般の銭湯などの様に、40℃を少し越えるくらいの湯温であれば、15分以上も浸かるのは、かなり辛いはずです。下手をすると、のぼせてしまうかも知れません。
これが38℃や39℃くらいであれば、多くの人は15分以上でも浸かっていられるようになります。その結果、体の芯から温まる事ができて、免疫力の向上など、様々なお風呂の効果を得る事ができます。

それから入浴の工夫として「半身浴」がお勧めです。つまり下半身を中心に温めるのです。特に寒い時期は首までしっかり湯に浸かりたくなるものですが、敢えて首と肩はお湯から出したまま、胸まで湯に浸かる訳です。
そのような半身浴によって、のぼせや血圧上昇などのリスクを軽減し、より長い時間にわたって体を芯から温める事が可能となります。とりわけ「お腹」をじっくり温めることにより、胃腸の機能の改善が見込まれ、免疫力の向上を含む様々な健康上のメリットが得られます。

お風呂の効能を別の形で活かした取り組みとして、「岩盤浴」や「ラドン温浴」などがあります・・(続く)

蒲田よしのクリニック