エッ!サラダ油はヤバいの?過剰な植物油「オメガ6」とは
皆さんこんにちは。4月も下旬に入りましたが、今月の半ば過ぎには関東地方などで30℃近い暑さとなりました。季節はずれの暑さに、驚いた方も多かったのではないでしょうか。コンビニでは冷やし中華や冷たいうどんなどが売れ、アイスクリームを食べながら歩く人もよく見かけました。私もそうでしたが、慌てて夏物の服を取り出した人も少なくなかった模様です。
一方では急な気温上昇の影響で、体調を崩した人も目立ちます。蒲田よしのクリニックに於いても、体がだるい、めまいがする、夜も眠れない、肩凝りがひどい、などの体調不良を訴える方が、いつもにも増して多く来院しました。新聞やテレビニュースなどでも、暑さで具合の悪い人が続出しているという報道が目立ち、その中で「軽い夏バテのような症状」と表現しているものもありました。
こんな春の時期で、暑いといっても30℃に達しない程度の気温で「夏バテ」というのは、いささか大げさな印象を受けるかも知れませんが、実はこの時期の時ならぬ暑さは要注意なのです。というのは、冬から春先の寒さのため未だ暑さに慣れていない状況で、この時期に特有の大きな寒暖差の流れに乗って気温が急上昇すると、体がついていけず、高温への適応障害を起こしてしまい易いのです。いうなれば「春バテ」でしょうか。
考えてみればここ数年から十数年、夏場の暑さはひどくなる一方です。最高気温35℃以上という猛暑日の日数が増えてきているほか、夏の暑さの続く時期が、昔に比べて明らかに長期化しています。例えば9月というのは元来「秋口」に当たり、朝晩など涼しくなって秋の風情が色濃くなりますが、最近はすっかり暑くなって、夏日はもちろん猛暑日も続出するようになってきました。もはや9月は「夏のうち」ともいえます。
同様に4月から5月にかけても、暑い日が本当に増えてきました。半袖の夏物を出す時期も、以前はだいたい5月の中頃だったのが、最近では早くも4月中に必要となることが多くなりました。その影響もあり、桜の開花も目立って早くなっています。今年は若干遅かったものの、関東地方では3月中に咲くことが多いのですが、ひと昔前までは4月上旬の入学式の頃に桜の季節を迎えたものです。
上述のように4月から「夏バテ気味」となる方が続出し、夏の暑さが長期化しているという現状がある限り、それへの有効な対策は欠かせません。暑さや夏バテの対策というと、本格的に暑くなる6月から7月にかけての課題という印象がありますが、前述のような事情を考えると、5月くらいから対策を立てておいた方が無難です。数カ月にわたる「長い夏」をどう快適に過ごすか、日を改めてテーマにしたいと思います。
さて前回のブログでは、スギ花粉のみならず通年性のアレルギー性鼻炎が増えていること、アレルギーや風邪の予防のためには「油」の選択がたいへん重要であること、などを説明しました。そして動物油よりも植物油がヘルシーとは限らないこと、動物油に比べて植物油は酸化や加熱に弱いこと、などもお話しました。例えば、古くなったサラダ油で揚げたフライなどというのは、実はあまりお勧めの料理ではないのです。
但し全ての植物油が要注意であるかというと、必ずしもそういう訳ではありません。同じ植物油であっても、その原料によって大豆油、コーン油、ごま油、菜種油、オリーブ油など様々な種類がありますが、それぞれの植物油を構成する脂肪酸の組成によって、幾つかのグループに分類できます。不飽和脂肪酸としての植物油はグリセリンと3本の脂肪酸から成り立っていますが、主体となる脂肪酸の種類が決定的に重要です。
脂肪酸には体内で合成できないため、必要量を摂取しなければならない「必須脂肪酸」が幾つかありますが、その代表的なものにα(アルファ)リノレン酸とリノール酸が挙げられます。前者は「オメガ3系」油脂の主成分、後者は「オメガ6系」油脂の主成分となっています。不飽和脂肪酸の二重結合が先端部分から3番目の炭素原子にあるものをオメガ3、6番目の炭素原子にあるものをオメガ6、と呼称しています。
それぞれの植物油は、オメガ3とオメガ6という2つの必須脂肪酸を特有の比率で含有していますが、必ずしもバランスよく含有している訳ではありません。多くの植物油は、オメガ6の含有率が圧倒的に高くなっています。それに対してオメガ3の含有率が高い油脂はごく限られており、シソ油(エゴマ油)、アマニ油、それにEPA(エイコサペンタエン酸)などの魚油くらいしか存在しません。
つまり一般に広く普及している植物油、すなわち大豆油、コーン油、菜種油、ごま油、米油、綿実油などは、ことごとくオメガ6主体の脂肪酸構成となっています。そして数種類の植物油をミックスした「サラダ油」や「てんぷら油」は、必然的にオメガ6が圧倒的に多いオイル商品です。我々が日常的に摂取し料理に用いている植物油は、一部の例外を除き、オメガ6がとても多くオメガ3は極めて少ないのが現状です。
その結果として、我々の肉体が必要としている必須脂肪酸の、実際に体内に摂取される比率は、著しくオメガ6に偏っていると言わざるを得ません。オメガ3の豊富な油脂は上述のように、魚油および2種の植物油に限られています。この数少ないオメガ3系油脂をよほど意識的に摂取しない限り、我々はどうしてもオメガ6の過剰、オメガ3の不足というアンバランスな状態に陥りがちです。
この「オメガ6過剰・オメガ3不足」の油脂環境は、我々の健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか。国内外の研究によって様々な影響が出ることが分かってきましたが、その一つが「炎症およびアレルギーの発生・増悪」です。花粉症がひどくなる原因の一端が何と、油のアンバランスにあるというのです・・(続く)