吉野です。皆さんこんにちは。寒暖の差が激しくなっていますが、如何お過ごしでしょうか。
17日には関東地方などで「春一番」が吹いたと報道されました。少し早い気もしましたが、これでも関東地方では平年より3日ほど遅いそうです。この日は午前中から季節外れのナマ暖かい南風が吹き、気温が急上昇しました。東京などでは20℃台まで上がり、コートを脱いで抱えつつ街を歩く人の姿が目立ちました。但し暖かい空気に誘われて、スギなどの花粉も多量に飛び回っていたようです。
ところが翌18日には一転して真冬のような寒さとなりました。寒冷前線が通過して風向きが北寄りに変わり、「冬の空気」が流れ込んできたためです。暖かくなったあと急に寒くなると、本当に堪えますね。しばらくの間はこのように、冬と春の間を行ったり来たりの状況が続きそうです。実際に2月から3月にかけては秋と並んで気温の差が激しく、この周期的な気候変動は昔から「三寒四温」と呼び習わされています。

このような目まぐるしい気温の変化も関係してか、風邪が相変わらず流行をみせています。インフルエンザはピークを打った感じもありますが、前回までのブログで紹介した「しつこい風邪」は依然として跳梁跋扈しています。しつこいというのは、熱が出ない割に、なかなか治らないという意味です。咳や鼻水などが延々と1週間も2週間も続くのですが、なぜ治りにくいかは前回ご説明した通りです。
風邪と並んで、いよいよ「花粉症」が本格的に流行してきました。特に暖かく風が強い日などには、街頭や室内、電車内などで盛んにくしゃみを発する人が後を絶ちません。蒲田よしのクリニックにも「鼻水が止まらない・・」などと花粉症の症状を訴えて来院してくる方が日に日に増えてきました。中には鼻風邪なのか花粉症なのか、判然としない症状に見舞われている人も少なくありません。

前回のブログで、風邪を早期に治す、或いは予防するために、体を温める事の重要性と具体的な方法を説明した後、それと並んで食生活の改善、「栄養バランス」を整える事が大切である、とお話しました。実際に食生活を改善し栄養バランスを整えると、免疫力が向上して風邪やインフルエンザに罹りにくくなります。さらに栄養バランスはそれだけでなく、花粉症の症状軽減や予防にも大いに関係しています。
「風邪の予防にはビタミンC」などと昔から言われています。確かにビタミンCは風邪の予防に役立ちます。しかし必要な栄養素はビタミンCだけではありません。ビタミンB群やビタミンD、鉄や亜鉛、カルシウムなどのミネラル類、良質なタンパク質、それに各種抗酸化成分など幅広い栄養素が、風邪やインフルエンザ、そして花粉症などアレルギー疾患の増悪防止や予防のために必要とされています。

風邪などを予防する上で、第一線として大切な役割を果たすのが気道の「粘膜」です。風邪やインフルエンザなどのウイルスは口や鼻から人体に侵入し、気管支や肺など呼吸器系の粘膜から体内に入り込みます。感染を食い止めるバリアーとしての気道粘膜の状態が悪ければ容易にウイルスが侵入し、反対に状態が良ければウイルスの侵入を阻止しやすくなります。この粘膜の状態を左右している要因の一つが、ビタミンB群や亜鉛、タンパク質などの栄養素とされています。
とりわけ重要な役割を果たしているのがビタミンB2です。ビタミンB2は脂質代謝に欠かせないビタミンですが、同時に粘膜の形成や保護にとって大切な存在です。またミネラルの中でも亜鉛はとても重要です。亜鉛は各種神経伝達物質を産生する際の補酵素として働きますが、やはり粘膜の保護に必要です。ビタミンB2を始めとするビタミンB群、それに亜鉛などが欠乏すると、粘膜が脆弱となり風邪をひきやすくなります。

免疫力を維持、向上させる上でもビタミンやミネラルなどの栄養バランスは大切です。風邪などのウイルスは、それこそ至る所に存在しますが、それでも我々が感染を防げているのは免疫システムのおかげです。免疫には抗体タンパクがウイルスなどの病原体を処理する獲得免疫と、ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞が直接ウイルスを攻撃する自然免疫とがありますが、そのいずれにも栄養の善し悪しが関係しています。
風邪やインフルエンザなどのウイルスが体内に入ると、そのウイルスに特有の抗原タンパクを標的とした「抗体」がBリンパ球などの免疫細胞により産生されます。この抗体が対象ウイルスを排除する仕組みが獲得免疫なのですが、Bリンパ球の増殖や活性化、抗体産生を促進する上で、タンパク質やビタミンB群、ビタミンD、亜鉛、カルシウムなどの各種栄養素が、とても大切な役割を果たしています。

従って風邪の予防、早期治療のためにはビタミン各種、ミネラル各種、それにタンパク質をしっかりと補給することが必要ですが、具体的には新鮮な果物や野菜、豆類、海藻類、きのこ類などをたっぷり摂取し、肉や魚なども適度に食べることが望まれます。野菜や果物などにはこの他に、ポリフェノールやリコピン、コエンザイムQ10など、各種の抗酸化物質が多量に含まれています。
これら抗酸化物質は風邪やインフルエンザの予防のために、どのようなメカニズムにより働いているのでしょうか。それは一つには、抗酸化物質が体の「お掃除役」となり、自然免疫の仕組みを支援しているからに他なりません・・(続く)

蒲田よしのクリニック