院長の吉野です。こんにちは。寒い中いかがお過ごしでしょうか。
先週末は西日本や日本海側を中心に、かなりの寒さと大雪、暴風雪になりました。特に影響の大きかった地域の方々にはお見舞い申し上げます。九州を中心に記録的な豪雪となった地域も多く、また水道管の破裂による漏水が多発した結果、各地で断水となりました。私も断水に見舞われた経験がありますが、炊事やお風呂、トイレを始めとして本当に不便な思いをするものです。

今回の大雪は北極由来の非常に強い寒波の到来によるもので、西日本の上空にはマイナス12度以下という、大雪をもたらすような強い寒気が南下してきました。その寒気は九州・四国をすっぽりと覆い、沖縄付近まで達しました。そういう状況から、九州や四国などにも降雪をもたらしたほか、沖縄本島に於いて短時間ながら観測史上初の降雪が観測されました。
「沖縄に雪は降らない」というのが通説であり、私もそう信じていました。実際に沖縄出身の人に聞くと、異口同音に「沖縄で雪が降ったのは聞いたことがない」と話します。そこで調べてみると、降雪の記録が1回だけありました。1977年2月17日に沖縄本島の西方に浮かぶ久米島で、5分間だけミゾレが降ったと記録されています。ただ沖縄本島に関しては、古文書に数件、雪が降ったという記録があるだけです。

さて前回、風邪やインフルエンザの予防には「抗酸化成分」の摂取が大切であること、言い換えると「体内をきれいに保つ」ことが重要であることをお話しました。単にビタミンCを摂取するだけでなく、抗酸化成分をたっぷり摂取し、体の「抗酸化力」を高めておくことが必要なのです。
見方を変えると、抗酸化成分の摂取が不足している、あるいは抗酸化力が低下しているような状態では、免疫力が著しく低下しており、風邪やインフルエンザにはたいへん弱くなります。風邪の類だけでなく、各種ウイルス感染症や細菌感染症にも罹りやすく、当然のことながら動脈硬化性疾患、さらにはガンなどの罹患率も高くなってしまうのです。

そのようにとても大切な抗酸化物質であり抗酸化力なのですが、現代に生きる我々の抗酸化力は、現状ではどのようになっているのでしょうか。もちろん抗酸化力には大きな個人差があり、また年齢や生活環境などの影響も大いに受けます。それでも全般的な傾向でいえば、日本を含む先進国に暮らす現代人は、抗酸化力がたいへん低下している、と言わざるを得ません。
日本に於いて特に顕著ですが、ガンの発生率が上昇の一途をたどり、今や2人に1人が生涯のうちにガンを患い、3人に1人がガンで亡くなる時代となっています。また心筋梗塞を始めとする心臓病、動脈硬化性疾患の発生率も欧米を中心に高止まりしており、働き盛り世代に於ける急死の代表的疾患の地位を占めています。これらの疾患の原因は多岐にわたりますが、最大の犯人は「体の酸化」とされています。

現代社会は「酸化」を促す要因が目白押しです。排気ガスや工場の煤煙など有害な空気、水質汚濁、水銀などの有害重金属、ダイオキシン、有機溶剤、農薬といった有害物質に囲まれており、病院から出される薬品も多過ぎると有害物質となります。睡眠不足や運動不足、ストレス、磁気の異常、騒音、不快な振動などの環境負荷も、体内の活性酸素を増加させて体を酸化させることにつながります。
酸化を促進するのは、そのような環境要因ばかりではありません。毎日のように我々が口にしている食べ物にも、体を酸化させるものが多数あります。ある栄養学者が「我々の体や脳は、我々が食べているものにより形作られている」と述べているように、日常的に摂取している食材や調理法の適不適によって、我々の健康状態は大きく左右されるのです。

具体的に、どのような食生活が体を傷め、免疫力の低下などを招いているのでしょうか。まず指摘されるのが、保存料を始めとした食品添加物を多量に含んだ食材です。これに該当する食材は多岐にわたり、菓子類やインスタント食品など加工食品の多くが含まれます。食品添加物は人体にとっては「異物」であり、酸化を促進するなど様々な悪影響を及ぼしているのです。
次にいわゆる「悪い油」が挙げられます。油というものは人体にとって必要不可欠なものですが、人体に有害な油を摂ると、それがそのまま人体の構成要素として組み込まれます。例えば脳神経の細胞膜は脂質およびタンパク質で構成されていますが、そこにそのまま悪い油が組み込まれます。すると細胞膜の透過性が低下し、神経伝達に齟齬をきたし、うつ病やアルツハイマー病など神経疾患を招く要因となるのです。

その「悪い油」とは一体どのようなものでしょうか。実は我々が身近に使っている油、或いは油を使った料理や食品に於いて、毎日のようにお目にかかっているのです・・(続く)

蒲田よしのクリニック