院長の吉野です。多少遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。

皆様はお正月を如何お過ごしでしたか。今年は暖冬の影響で、遠出をされた方は肉体的に割と楽だったかも知れません。一方、日並びの関係で、慌ただしく帰路についた方も多かったのではないでしょうか。
正月休みは通常1月3日までですが、今年は4日が月曜日で、連休明けと週明けが重なりました。そのため正月明けの仕事始めは、いわば「ロケットスタート」となった訳です。例年ならば、休暇明けを数日伸ばして1月4日か5日、あるいはそれ以降に帰省先から戻る方も少なくないのですが、今年に限っては日程に余裕がなく、1月2日から3日に帰省客が集中しました。

その影響もあり、1月2日や3日には例年以上の大混雑となった路線が多かったようです。高速道路は路線の拡充などもあり、渋滞はおしなべて例年通りでしたが、主要な鉄道や空路は混雑を極めました。新幹線などは乗車率が200%を超えた便もあった模様です。どのくらいの混雑か想像もつきませんが、かなりのギュウギュウ詰めでしょうね。飛行機も外国人の急増も加わり、軒並み満席の状態でした。
私に熊本県出身の知り合いがいますが、年末年始に帰省した際、行きは飛行機で帰りは新幹線の乗り継ぎだったそうです。12月30日の帰省の足は航空便を何とか予約できたものの、1月3日の帰りは飛行機が早々と満席になったため、新幹線に乗ることにしたのです。ただその新幹線の予約に関しても冷や汗もので、ちょうど1か月前の12月3日の予約受付開始と同時に予約を入れたものの、その直後に満席となったそうです。

そのように若干慌ただしい正月明け、およびロケットスタートとなった今年の仕事始めですが、その影響もあるのか、体調の悪い方や風邪をひいた方が蒲田よしのクリニックにも多数、来院されています。だるさや疲れが取れない、風邪が治らない、胃腸の調子が悪い、肩凝りや頭痛がひどい、などといった症状が目立ちます。また暖冬傾向のせいか、早くも鼻炎など花粉症の症状に悩まされる方も少なくありません。
正月を挟む年末年始というのは、お祝いの食事や初もうで、新年のあいさつなど、普段とは違う生活パターンと気苦労、それに帰省ラッシュなどのため、心身ともに疲れ果ててしまう人が目立ちます。新春のめでたい時期ではありますが、意外にストレスの多い時期ともいえます。実際に蒲田よしのクリニックに来られる方にも「正月で疲れた。マイヤーズカクテルをお願いします」などと点滴を希望する方が後を絶ちません。

前回のコラムでは、風邪症状をいち早く軽減させるうえでマイヤーズカクテルを始めとしたビタミン点滴がたいへん有効である、とお話しました。さらにその理由として、ビタミン等の栄養素が細胞や組織の代謝を活発にし、免疫力や解毒力を向上させること等が挙げられる、と説明しました。血管内に注入された栄養のパッケージが、細胞や組織の代謝、免疫、解毒のレベルを即効で上げる、という訳です。
但し即効性に優れるビタミン点滴ではありますが、さすがに恒常的な風邪の予防には不十分な側面もあります。今まさに風邪をひいている、風邪が治り切らない、などの場合には威力を発揮する一方で、点滴は反面で効力が切れるのも早いため、安定した予防効果はあまり期待できないのです。そのような事情もあり、定期的に点滴を受けているものの風邪をよくひくという方は、意外と多い印象を持っています。

それならば、日常的に風邪を予防していくためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。それを考えるに当たっては、風邪を滅多にひかないような人をよく観察することが参考になります。何かにつけてすぐ風邪をひく人がいる一方で、ここ十年というもの風邪などひいたことがないという丈夫な人には、ある共通点があります。風邪から身を守るような食生活や暮らしぶりといったものが存在するのです。
例えば風邪をあまりひかない人は、野菜や果物をたくさん食べている、という共通項があります。例えば昔から「トマト赤くなれば医者青くなる」という言い伝えがありますが、これはトマトが風邪を予防し体調を整える効果があることを、先人たちが理解していた証拠です。トマトに限らず、新鮮な野菜や果物は食べると胃の辺りがスッキリし、体が洗われたような感覚になるものです。

野菜や果物には、なぜ風邪の予防効果があるのでしょうか。最も分かりやすい要素は「ビタミンC」です。人間が生きていくのに欠かせない栄養素であるビタミンCには実に多様な作用がありますが、その一つに免疫力を向上させることが挙げられます。風邪などのウイルスを駆逐するリンパ球や顆粒球など免疫細胞の活性化、免疫グロブリンの産生などに、ビタミンCは重要な役割を果たしているのです。
また「ビタミンB群」も大切な存在です。ビタミンB群は全部で8種類あり、ビタミンC以上に多様な作用が知られていますが、その一つとして粘膜の強化や免疫力の向上が挙げられます。例えばビタミンB2は粘膜の維持に欠かせない存在で、ビタミンB2不足では口内炎が出来やすくなり、風邪が治りにくくなります。またビタミンB1は糖質代謝に関して重要な存在ですが、その欠乏により免疫力全般が低下します。

そのように各種ビタミンを豊富に含む食材、なかでも野菜や果物をたくさん食べることが大切ですが、必要なものはビタミンだけではありません。いわゆる「抗酸化物質」を摂ることが風邪の予防には欠かせません。裏を返すと、体の「酸化」によって風邪にかかりやすくなってしまうのです・・(続く)

蒲田よしのクリニック